Webマーケター初心者向け:コンテンツKPI設定を始める前の準備と確認事項
コンテンツマーケティングに携わるWebマーケターの皆様、特に経験が浅い方の中には、「コンテンツの成果をどう評価すれば良いか分からない」「KPIを設定しようにも、何から手をつければ良いのか迷ってしまう」といった課題をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。日々のコンテンツ制作・運用に追われる中で、KPI設定や効果測定は後回しになりがちかもしれません。
この記事では、コンテンツKPIを適切に設定するために、まず何から始めるべきか、設定前にどのような準備が必要なのかを解説します。これからコンテンツKPI設定に取り組む初心者の方が、迷わずに最初の一歩を踏み出せるよう、具体的な準備のステップと基本的な考え方をご紹介します。この記事を読むことで、適切なKPI設定に向けた土台をしっかりと築くことができるでしょう。
なぜコンテンツKPI設定前の準備が重要なのか
適切なコンテンツKPIを設定することは、コンテンツがビジネス目標達成に貢献しているか否かを判断し、効果的な改善策を見出す上で不可欠です。しかし、単に指標を選ぶだけでは、意味のあるKPIにはなりません。
闇雲に指標を選んでしまうと、「データは取れているけれど、それが何を意味するのか分からない」「コンテンツ改善に繋がらない」といった状況に陥りがちです。このような事態を避けるためには、KPI設定の前にいくつかの重要な準備を行う必要があります。この準備こそが、後々の分析や改善活動の効果を大きく左右するのです。
コンテンツKPI設定に向けた具体的な準備ステップ
コンテンツKPI設定に進む前に、以下の3つのステップでしっかりと準備を進めましょう。
ステップ1:コンテンツの「目的」を明確にする
まず最も重要なのは、そのコンテンツが「何を達成するために存在するのか」を明確にすることです。これは、サイト全体の目標(KGI:重要目標達成指標)や、マーケティング全体の目標(KSF:重要成功要因)と連携している必要があります。
例えば、あなたが担当するコンテンツがブログ記事であれば、その目的は認知拡大なのか、見込み顧客の獲得なのか、あるいは既存顧客との関係強化なのかによって、見るべきKPIは大きく変わります。
- 目的例:
- ブランド認知度を高める
- 特定の製品やサービスへの関心を喚起する
- メールマガジン登録者を増やす
- 製品購入や問い合わせに繋げる
- 既存顧客のリピート利用を促進する
このように、抽象的な「なんとなく良い記事を作る」から脱却し、「このコンテンツで具体的なビジネス成果の〇〇に貢献する」という視点を持つことが大切です。コンテンツ単体の目的だけでなく、それがマーケティングファネル(認知、関心、検討、購入など)のどのフェーズに位置付けられるのかを考慮すると、より目的が明確になります。
ステップ2:ターゲット読者とカスタマージャーニーを再確認する
そのコンテンツが誰に向けて書かれているのか、そしてその読者がコンテンツを読んだ後にどのような行動をとってほしいのかを再確認します。
ターゲット読者の属性(年齢、性別、興味関心など)や、彼らが抱える課題、そしてその課題解決のためにどのような情報を求めているのかを深く理解することが、コンテンツの質を高めるだけでなく、適切なKPIを選ぶ上でのヒントになります。
また、ターゲット読者がコンテンツに接触する前後のカスタマージャーニーを想定します。 * 彼らはどこからコンテンツにたどり着くのか? * コンテンツを読んでいる最中にどのような疑問を持つか? * コンテンツを読んだ後、次にどのような行動をとる可能性があるか?
こうした読者の行動フローを理解することで、そのコンテンツがカスタマージャーニーの中で果たす役割が明確になり、その役割を評価するためのKPIが見えてきます。
ステップ3:測定可能な「行動」を洗い出す
ステップ1で明確にした「目的」と、ステップ2で再確認したターゲット読者のカスタマージャーニーを踏まえ、そのコンテンツを通じて読者に取ってほしい「具体的な行動」を洗い出します。そして、その行動がデータとして測定可能かを確認します。
- 目的:認知拡大
- 読者に取ってほしい行動例:記事を最後まで読む、SNSで共有する
- 測定可能な指標例:ページの閲覧時間、直帰率、ソーシャルシェア数
- 目的:見込み顧客の獲得
- 読者に取ってほしい行動例:フォームから問い合わせる、資料をダウンロードする、メールマガジンに登録する
- 測定可能な指標例:コンバージョン率(フォーム送信完了率、ダウンロード完了率、登録完了率)
- 目的:製品購入
- 読者に取ってほしい行動例:製品ページを閲覧する、カートに入れる、購入を完了する
- 測定可能な指標例:eコマースコンバージョン率、トランザクション数
このように、目的に直結する読者の行動と、それをデータで捉えるための指標候補をリストアップしていきます。この段階では、まだKPIとして絞り込む必要はありません。考えられる可能性を幅広く洗い出すことが重要です。
コンテンツKPI設定の「超」基本
上記の準備を踏まえた上で、いよいよKPIの設定に進みます。KPI設定における基本的な考え方をいくつかご紹介します。
良いKPIの条件
設定するKPIは、以下の条件を満たしていることが望ましいとされています。
- 目的との関連性: 設定したコンテンツの目的達成に直接的に繋がる指標であること。
- 測定可能性: 客観的なデータとして測定できること。
- 分かりやすさ: 誰が見ても意味を理解できるシンプルな指標であること。
- 改善への示唆: その指標の変動が、コンテンツや施策のどこに課題があるのか、何を改善すべきかを示唆するものであること。
これらの条件を満たす指標を選ぶことで、KPIは単なる数字の羅列ではなく、具体的なアクションに繋がる羅針盤となります。
代表的な指標候補とその見方
準備ステップ3で洗い出した「測定可能な行動」に対応する形で、代表的な指標候補とその一般的な見方をご紹介します。(これらの指標が必ずしも貴社のKPIになるとは限りません。目的によって適切に判断してください。)
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アクセス関連指標:
- ページビュー数 (PV): 記事がどれだけ見られたか。認知度や到達率の一つの目安になります。
- ユニークユーザー数 (UU): 記事を見た人の数。リーチの大きさを把握できます。
- セッション時間 / 平均滞在時間: ユーザーが記事ページにどれくらい留まったか。コンテンツへの関心度や熟読度を示唆します。長ければ良い、とは限りませんが、コンテンツの質を測る上で重要な指標です。
- 直帰率: 記事ページだけを見てサイトを離れたユーザーの割合。記事の内容がターゲットに合っていなかったり、次の行動への導線が不明確だったりする場合に高くなる傾向があります。低い方が望ましいことが多いですが、コンテンツの性質にもよります。
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エンゲージメント関連指標:
- スクロール率 / 読了率: 記事ページをどれだけ下まで読まれたか。コンテンツの内容が読者の興味を引きつけられているか、最後まで読まれる構成になっているかを測るのに役立ちます。
- ソーシャルシェア数: 記事がSNSでどれだけ共有されたか。コンテンツの話題性や共感性を測る指標の一つです。
- コメント数 / ブックマーク数: 記事に対する読者の反応や、後から見返したいと思われたかを示す指標です。
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コンバージョン関連指標:
- 特定のリンククリック数: 記事内に設置した関連ページやCTA(コールトゥアクション)へのリンクがどれだけクリックされたか。次のステップへの誘導効果を測ります。
- コンバージョン率 (CVR): 記事ページを見たユーザーのうち、目標とする特定の行動(問い合わせ、資料請求、購入など)を完了した割合。コンテンツがビジネス成果にどれだけ貢献したかを直接的に示す最重要指標の一つとなり得ます。
これらの指標の中から、準備ステップで明確にしたコンテンツの目的とターゲット読者の行動に最も関連性の高いものを選び、KPIとして設定します。一つの目的に対して、複数の指標を組み合わせて見ることも有効です。(例: 認知拡大が目的なら、PVだけでなく、滞在時間やソーシャルシェア数も見る)
初心者が確認すべきチェックポイント
KPI設定の準備が整い、いざ設定を行う際に、初心者の方が特に確認しておきたいチェックポイントをまとめました。
- コンテンツの目的は明確になっていますか?
- その目的は、サイト全体の目標と連携していますか?
- ターゲット読者は誰か、想定した行動は明確ですか?
- 設定しようとしているKPIは、コンテンツの目的達成度を測る上で適切ですか?
- 設定しようとしているKPIは、データとして測定可能ですか?
- どのツール(例: Google Analytics)を使って、どのように測定するかが明確ですか?
- そのKPIの目標値は、過去のデータやベンチマークを参考に現実的な範囲で設定できそうですか?(目標値設定については別の機会に詳しく解説します)
これらの点を一つずつ確認しながら進めることで、より意味のある、ビジネス成果に繋がるコンテンツKPIを設定できる可能性が高まります。
まとめ
コンテンツKPI設定は、闇雲に行うのではなく、事前の準備が非常に重要です。コンテンツの目的を明確にし、ターゲット読者の行動を想定し、それを測定可能な指標と紐づけるステップを踏むことで、初めてKPIは効果的な羅針盤となります。
今回ご紹介した準備ステップ(目的の明確化、ターゲットとジャーニーの確認、測定可能な行動の洗い出し)とKPI設定の基本、そしてチェックポイントは、コンテンツマーケティング初心者の方がKPI設定を始める上で役立つはずです。
まずは、あなたが担当する一つのコンテンツについて、これらの準備から始めてみてはいかがでしょうか。しっかりと準備を行った上で設定されたKPIは、必ずやあなたのコンテンツ改善活動、そしてビジネス目標達成への道を照らしてくれるでしょう。